
妻も赤ちゃんも、俺がしっかり守らないと。大黒柱なんだから、弱音なんて吐いていられない。…でも、なんでこんなにイライラするんだろう。なんで、仕事にも集中できないし、何もやる気が起きないんだろう…。俺は、父親失格なのか…?
「いい父親にならなければ」
その強い責任感が、気づかぬうちに、あなたの心をすり減らし、追い詰めていませんか。
この記事は、「俺は大丈夫」と、自分に言い聞かせながら、見えないプレッシャーと戦っている、すべての父親。そして、そんなパートナーの変化に戸惑い、心を痛めている、すべての母親に贈る、心の処方箋です。
それは、あなたの根性が足りないからではありません。父親になった誰もが陥る可能性のある、「パパの産後うつ」という、心のサインなのかもしれません。
「パパの産後うつ」とは?実は、10人に1人が経験する

「産後うつ」と聞くと、誰もが母親の問題だと考えます。しかし、国内外の様々な研究で、父親の10%前後が、産後にうつ的な症状を経験することが分かっています。
主な原因は、ママと同じく、急激な生活の変化によるストレスです。
- 慢性的な睡眠不足
- 自分の時間がなくなることへの喪失感
- 「家族を養わなければ」という経済的なプレッシャーの増大
- 妻が赤ちゃんにかかりきりになることによる、夫婦関係の変化と孤独感
これらのストレスが、父親の心を静かに蝕んでいくのです。
ママとの違いは「怒り」として現れやすいこと
ママの産後うつが、「涙が止まらない」「不安で仕方ない」といった形で現れやすいのに対し、パパの産後うつは、以下のような、**「怒り」や「攻撃性」**として現れることが多いのが特徴です。
【チェックリスト】夫のこんな変化、ありませんか?
- □ 以前より、明らかにイライラしやすくなった、些細なことで怒鳴る
- □ 仕事に集中できず、ミスが増えたと嘆いている
- □ 好きだったはずの趣味(ゲーム、釣りなど)に、全く興味を示さなくなった
- □ お酒やタバコの量が、目に見えて増えた
- □ 「疲れた」が口癖で、常に無気力に見える
- □ 赤ちゃんとの関わりを、避けているように見える
【ベビすけの心配】パパ、最近、笑ってる…?

パパ、最近なんだかイライラしてる…?僕が夜泣きして、パパの睡眠を邪魔しちゃってるからかな…。僕、パパの高い高いと、笑った顔が大好きなんだ。無理しないで、ちゃんと休んでね…?
もし「自分、かも…」と思ったら。今すぐできる、3つのこと
①「辛い」と、言葉にする勇気を持つ
まずは、一番身近な妻に、あるいは信頼できる友人に、「最近、なんだか辛いんだ」と、正直に話してみてください。「男が弱音を吐くな」と笑う人はいません。その一言が、あなたの心を救う第一歩になります。
② 完璧な「100点の父親」を目指すのを、やめる
スーパーマンのような父親なんて、この世には存在しません。仕事も育児も完璧にこなそうなんて、思わなくて大丈夫。60点で上出来。赤ちゃんと妻が、今日も無事に生きている。それだけで、あなたは父親として100億点満点です。
③ 15分だけ、「自分」に戻る時間を作る
意識して、父親でも夫でもない、「自分」に戻る時間を作りましょう。通勤中に好きな音楽を聴く、昼休みに少し散歩する、トイレで好きな漫画を読む。たったそれだけでも、心は少しだけ軽くなります。
【妻として、できること】夫は「敵」ではなく「傷ついた戦友」です

夫のイライラや無気力な態度を、「父親失格!」と責めないでください。それは、彼からの**声にならない「SOS」のサイン**かもしれません。
- 責めずに、気遣う:「なんで手伝ってくれないの!」ではなく、「あなたも、毎日お仕事大変だよね。ありがとう」と、まず相手の労をねぎらう。
- 話を聞く:「最近、元気ないけど、何かあった?」と、穏やかに問いかける。アドバイスはせず、ただ聞くだけで、夫の心は楽になります。
- 一緒に、専門家を頼る:「二人で、一度話を聞いてもらいに行かない?」と、夫婦の問題として、一緒に向き合う姿勢を見せる。
まとめ:助けを求めることは、弱さじゃない。家族を守るための「強さ」です。

あなたが辛いなら、私も辛い。一人で抱え込まないで。私たちは、夫婦で、チームなんだから。
一人で我慢し、抱え込むことこそが、家族を最も危険に晒す行為です。
辛い時に「助けて」と言うことは、決して弱さではありません。それは、あなた自身と、愛する家族を守るための、最も尊い「強さ」なのです。
地域の相談窓口、心療内科、カウンセリング…。あなたを助けてくれる場所は、必ずあります。パパが心から笑ってくれること。それが、ママにとっても、赤ちゃんにとっても、最高のプレゼントなのですから。
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