産後、涙が出る。気持ちが沈む。赤ちゃんのお世話を続けるのがつらい。そんなときは、できることを増やすより、ひとりで背負っている負担を減らし、必要な支援につながることを考えてください。
最初に確認 今すぐ助けが必要なとき
- 自分や赤ちゃんを傷つけそうで、安全を保てないとき:赤ちゃんを安全な専用の寝床に寝かせ、日本ではすぐ119で救急車を求めてください。可能なら頼れる大人にも来てもらい、ひとりにならないようにしてください。人が見つかるまで通報を待つ必要はありません。
- 「死にたい」「自分や赤ちゃんを傷つけたい」という考えが浮かぶ、強く混乱する、実際にはない声が聞こえるなどのとき:様子見にせず、今すぐ出産した施設や医療機関に連絡してください。とくに強い混乱や実際にはない声が聞こえる場合は、その日のうちに緊急の診察につなげてもらいましょう。差し迫った危険があるときは119へ。
これらはセルフケアだけで抱えないでほしい状態です。家族が異変に気づいた場合も、本人を責めず、医療につなぐ手助けをしてください。NHSの緊急受診に関する情報・消防庁の119番通報案内を参考にしています。
休息の工夫と専門家への相談は、同時に進めてかまいません。
この記事では、相談する目安と、今日の負担を少し減らす方法を紹介します。何日で元気になるかを決めるプランではありません。全部を実行する必要もありません。診断や治療の判断は医療者に相談してください。
短く読むなら 今日の一歩はこの3つ
- つらさが強い、悪くなっている、生活に支障があるなら、早めに相談する。
- 頼れる人がいれば「何を・いつまで」を決めて、お世話や家事を引き継ぐ。
- 眠くなったら、抱っこしたまま眠らず、赤ちゃんを安全な専用の寝床へ。
相談先を先に知りたい方は、「どこに相談すればいい?」へ進んでください。
産後の落ち込み 2週間を待たずに相談していい
出産後の数日間に涙もろさや不安が出ることがあり、「マタニティブルーズ」と呼ばれます。多くは産後2週間ほどまでにおさまります。ただし、長引く、悪化する、生活を送るのが難しい場合は支援が必要です。「疲れているだけ」と自分で決めなくてかまいません。NHSの産後うつに関する解説も、続く・悪くなる・対処が難しいときの相談を勧めています。
気分の落ち込みのほか、楽しめない、不安や自責の気持ちが強い、休める状況でも眠れない、といったことも相談する理由になります。症状が全部そろっていなくても大丈夫です。
2週間は、我慢して待つ期間ではありません。つらさが強いとき、食事や睡眠、お世話が難しいときは、その時点で連絡してください。産後しばらくたってから始まった不調も相談できます。パートナー自身の心の不調も同じです。
どこに相談すればいい?
- 出産した施設・かかりつけの医療機関:気分の変化や眠れなさ、身体の不調を伝え、受診先や受診時期を相談します。すでに通院中なら、その主治医にも連絡してください。
- 住んでいる市区町村のこども家庭センター・保健センターなど:保健師や助産師に、家での困りごとや利用できる支援を相談できます。窓口の名称・連絡方法は自治体によって異なります。
- 精神科・心療内科など:こころの症状を相談する医療機関です。どこを受診するか迷う場合は、出産した施設や自治体の窓口から案内を受けてください。
こども家庭センターは、妊産婦や子育て家庭の相談を受け、地域の支援につなぐ役割を担います。自治体の公式サイトで「自治体名 産後 相談」「自治体名 こども家庭センター」と探すときの手がかりになります。こども家庭庁のこども家庭センター案内も参照してください。

電話や面談では、うまくまとめなくてもかまいません。たとえば「産後から気分が沈んで、休めるときも眠れません。相談したいです」と伝えてみてください。
余裕があれば「出産から何週間・何か月か」「いつから、何に困っているか」「睡眠や食事の様子」「今、手伝ってくれる人がいるか」を短くメモします。メモを用意できなくても、連絡を後回しにする必要はありません。
休むために 家事とお世話の担当を具体的に変える
「休んでね」と言われても、お世話が自分に集中していると休みにくいものです。頼れる大人がいる場合は、時間と担当することを一つ決めるところから始めてみましょう。家事・育児の支援や保健師への相談は、厚生労働省掲載の養育者のメンタルヘルス資料でも取り上げられています。

- 「今から30分、赤ちゃんのお世話をお願いできる? 私は横になりたい」
- 「今日は夕食の用意と片づけを、まとめてお願いしたい」
- 「次の授乳の前後のおむつ替えと寝かしつけを代わってほしい」
引き継ぐ相手には、直前のお世話の内容や、気になる体調の変化、次に必要なことを伝えます。授乳の間隔や方法を無理に変える必要はありません。授乳で休めず困っている場合は、助産師などに相談して方法を考えてください。
掃除や洗濯物をたたむことなど、急がない家事を減らすのも選択肢です。食事は手間をかけなくてもよく、水分や食べられるものを手元に用意します。これらは暮らしの負担を減らす工夫で、受診や治療の代わりではありません。
頼める人が近くにいないときは 産後ケアなどを相談
家族の助けが得られなくても、相談できます。自治体の窓口に「家で休めない」「夜間もひとりで対応している」など、実際の状況を伝えてください。
産後ケア事業は、出産後1年以内の母子への心身のケアや育児サポートを行う事業です。宿泊・日帰り・訪問などの方法がありますが、利用できる種類、月齢、費用、申し込み方法、空き状況は自治体や施設で異なります。こども家庭庁の利用者向け案内・2026年3月の産後ケア事業ガイドラインと、お住まいの自治体の最新情報を確認してください。
問い合わせるなら「休息を取りたいのですが、使える産後ケアや訪問支援はありますか」と聞いてみましょう。予約日まで待つのが難しいほどつらい場合は、そのことも伝え、医療機関への相談を並行してください。
眠くなったとき 赤ちゃんの寝床を先に整える
抱っこしたまま大人が眠ることは避けましょう。とくにソファや椅子で赤ちゃんと眠ることは危険です。眠気を感じたら赤ちゃんを専用の寝床へ移し、交代できる人がいれば頼んでください。NHSの安全な睡眠の案内でも、大人が眠る前に赤ちゃんを寝床へ戻すよう勧めています。
- 1歳になるまでは、寝かせるときはあおむけにする。医師から個別の指示がある場合は、その指示に従う。
- 身体が沈み込まない、硬めで平らな寝具を使う。寝床に枕、ぬいぐるみ、タオルなどを置かない。
- 1歳未満では掛け布団を使わず、衣類や空調で調整する。
- ベビーベッドの柵は説明書どおりに上げ、ロックを確認する。製品の対象年齢と使い方を守る。
安全な寝床の考え方は、こども家庭庁「赤ちゃんが安全に眠れるように」と、消費者庁のベビーベッド使用時の注意をご確認ください。添い寝や抱っこ寝を、保護者の休息を取る方法として勧めることはできません。
泣き声で気持ちが追いつめられたら、赤ちゃんを安全な寝床に寝かせて少し離れ、落ち着く時間を取ってかまいません。長時間そのままにせず、少ししたら戻って様子を確認してください。激しく揺さぶったり、口をふさいだりしないでください。発熱や嘔吐などがある、いつもと違う、心配な場合は医療機関へ相談します。こども家庭庁の泣きやまないときの案内が参考になります。
気分転換は やりたいものを一つだけ
安全が確保できていて、少し余力があるときに選ぶための例です。できない日があっても、課題を増やす必要はありません。
- 気を許せる人に「今日はしんどい」とだけ送る。返事が負担なら、そのことも伝える。
- 赤ちゃんのお世話を任せられる時間に、好きな音楽を聴く、静かに座るなど、負担の少ない過ごし方を選ぶ。
- SNSを見てつらくなるなら、通知を切る・閉じる。相談や人とのつながりに役立つなら、無理に手放さなくてよい。
感謝の言葉や笑顔、育児の「できたことリスト」を自分に課さなくて大丈夫です。赤ちゃんをかわいいと思えない瞬間があっても、責めずにその気持ちを相談してください。
家族ができること 励ます前に負担を引き受ける
- 「休めている?」「今日、代われることはある?」と聞き、答えを急がせない。
- 「みんな大変」「気の持ちよう」で片づけず、つらさをそのまま聞く。
- 食事、おむつ替え、片づけなどを一つ引き受け、休む時間を具体的に確保する。
- 本人が望む場合は、相談先を一緒に探す、電話や受診に付き添う。危険が迫る場合は冒頭の緊急案内に沿って動く。
支える側も眠れずつらいなら、家族だけで抱えず自治体や医療機関に相談してください。役割を分けるときも、一人に無理を集中させないことが大切です。
まとめ つらさを説明しきれなくても相談できる
今日できることは、一つで十分です。頼れる人に具体的に助けを頼む、出産した施設に電話する、自治体の相談窓口を開く。つらさが強いときは、セルフケアを続けてから相談しようと待たないでください。
参考にした公的情報
確認日:2026年10月5日。この記事は一般的な情報です。個別の診断・治療、緊急性の判断は医療者に相談してください。



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