お腹が大きくなるにつれて、腰の痛み、足のむくみ、寝苦しさなどを感じることがあります。変化の出方やつらさには個人差があり、周りの人と同じでなくても不思議ではありません。
一方で、妊娠に伴う変化に見えても、診察が必要な症状があります。まず「今すぐ連絡する目安」を確認し、そのあとで日常の工夫を読んでください。この記事は一般的な情報です。ご自身の症状の判断や、受診先の指示に代わるものではありません。
まず確認:こんなときは待たずに連絡を

図は代表例です。突然の激しい頭痛や腹痛、けいれん、顔の片側が動かない・片方の手足に力が入らない・ろれつが回らないときも119番へ。出血などに意識の異常を伴う場合や、片脚の腫れに急な息苦しさ・胸痛が加わる場合は、産院への電話を待たず119番へ。図にない気になる変化も相談してください。
呼吸・意識の異常や、突然の激しい痛みは119番へ
急に息が苦しくなった、息苦しくて会話ができない、胸に強い痛みや圧迫感がある、突然の激しい頭痛や腹痛がある、顔の片側が動かない・ろれつが回らない・片方の腕や脚に力が入らない、けいれんがある、意識がない・はっきりしないときは、日本では119番へ。妊娠中であることと、わかる範囲で妊娠週数を伝えてください。産院への電話や荷物の準備のために、救急要請を遅らせないでください。 [1] [2]
次の症状は、夜間でもかかりつけの産院へ
- 胎動がいつもより少ない、感じなくなった、普段の動き方と違う
- 性器出血がある、破水かもしれない水っぽい液が出る
- 顔や手足が急にむくむ、強い頭痛や目のちらつきがある(突然の激しい頭痛は119番)
- 38℃以上の熱がある
- お腹の痛みが続く(突然の激しい腹痛や、激しい痛みが続くときは119番)
- みぞおちや肋骨の下の強い痛み、強い吐き気・嘔吐がある
- 片脚だけが腫れる、赤い・熱い・痛い
- 横になると息苦しい、動悸にめまいや息苦しさを伴う
- 妊娠37週未満で規則的な張り、生理痛のような痛み、普段と違う腰痛がある(37週以降の陣痛は、産院から説明された方法で連絡)
すべての症状がそろう必要はありません。胎動の減少や出血などは、翌朝や次の健診まで待たずに連絡します。上にない症状でも「いつもと違う」「何かおかしい」と感じたら相談してください。症状が強いときや急に悪化したときは119番へ。 [2] [6] [8]
妊娠中期〜後期に気になりやすい5つの変化
1.腰・背中の痛み:いつもの痛みかを確認する
妊娠中は靱帯がやわらかくなり、腰や骨盤の関節に負担がかかることがあります。重い物を持つ、体をひねるなど、痛みが出る動きを減らしましょう。座るときは背中を支え、同じ姿勢がつらければ無理のない範囲で姿勢を変えます。 [4]
ただし、中期〜後期に新しく出た腰痛や普段と違う腰痛は、早産のサインのこともあります。その場で産院へ連絡してください。発熱、出血、排尿時の痛み、お腹の張り、脇腹や肋骨の下の痛みを伴う場合も同様です。歩く・眠るなどの日常生活に支障がある痛みも、我慢せず相談できます。 [4] [7]
2.息切れ・動悸:お腹の大きさだけで決めつけない
妊娠が進むと息が上がりやすくなることはありますが、息切れや動悸は貧血などでも起こります。初めて出た症状や繰り返す症状は産院に伝え、必要な確認を受けましょう。「妊娠中だから仕方ない」と片づけないことが大切です。 [3] [11]
動いている途中でつらくなったら動作を止め、楽な姿勢をとります。休んでも続く、横になると苦しい、胸の痛みやめまいがある場合はすぐに連絡を。急な呼吸困難や会話が難しいほどの息苦しさは119番の目安です。 [1] [2] [3]
3.むくみ・こむら返り:急な変化や左右差に注意
妊娠中は体に水分をため込みやすく、足首や足が夕方にむくむことがあります。健診などで問題がないと確認されている軽いむくみなら、長時間立ち続けることを避け、足を少し上げて休む、きつい靴や靴下を避けるといった工夫ができます。 [5]
急に増えたむくみや、頭痛・見え方の変化を伴うむくみは、妊娠高血圧症候群などの確認が必要です。また、片脚だけの腫れや痛みは、血栓の可能性もあります。どちらもセルフケアで様子を見ず、すぐに産院へ相談してください。片脚の腫れや痛みに、急な息苦しさや胸の痛みが加わったときは119番へ。 [1] [2] [3] [5]
こむら返りは、ふくらはぎなどが急に痛くなる症状で、夜に起こることがあります。痛みが続く、腫れや赤みが残るときは、単なる足のつりと考えずに相談しましょう。 [10] [2]
4.胎動:回数の多さより「いつもの動き」を知る
胎動を感じ始める時期には幅があり、目安は妊娠16〜24週ごろです。初めての妊娠では20週を過ぎてから気づくこともあります。24週になっても一度も感じない場合は、産院に伝えて確認してもらいましょう。 [6]
感じ方は、ふわっと動く感覚から、蹴る・ぐっと押すような感覚へ変わることがあります。胎動は、出産が近づいても、お産の最中まで感じられます。「お腹が狭くなったから」と考えて待たず、いつもより少ない、感じない、普段と違うと思ったら、夜中でもすぐに産院へ連絡してください。 [6] [12]
「何回動けば必ず安心」という共通の回数はありません。産院から胎動の数え方を指示されていれば従い、心配な変化があるときは数え終えるまで連絡を待たないでください。家庭用の心音計で音が聞こえても、安全の確認にはなりません。 [6]
5.お腹の張り:痛み・間隔・出血などを一緒に伝える
子宮が収縮すると、お腹が硬くなるように感じます。妊娠後半には不規則な張りが出ることもありますが、見た目や感覚だけで問題のない張りかどうかを判断するのは難しいものです。 [8]
37週未満の規則的な張り、生理痛のような痛み、普段と違う腰痛は、その場で産院へ連絡してください。週数を問わず、出血や破水らしい液、胎動の減少があれば、張りがおさまるかを待たずに相談します。37週以降の陣痛の連絡時期は、産院から受けた説明を確認しておきましょう。 [7] [8]
寝苦しさには、買い足す前に姿勢の工夫を
お腹の大きさや夜間のトイレで、眠りが途切れることがあります。妊娠28週以降は、寝つくときに左右どちらかの横向きを選びましょう。目覚めたときに仰向けだったら、あわてず横向きに戻しましょう。自分を責める必要はありません。 [9] [10]
お腹の下や両膝の間に、手持ちの枕やクッションを当てると姿勢を保ちやすいことがあります。抱き枕は選択肢の一つで、専用品の購入は必須ではありません。横になると息苦しい場合は、枕だけで対処せず産院に連絡してください。 [9] [2]
眠れない状態がつらい、疲れで生活に支障がある、気持ちの落ち込みも続くときは、健診や電話で相談してかまいません。家事や上の子の世話を一部頼むなど、休める時間を周りの人と一緒につくりましょう。 [9]
産院につながらないときは
産院につながらず、受診先や救急車を呼ぶか迷うときは、地域の救急相談窓口に相談してください。#7119は実施地域・対象・受付時間が異なるため、消防庁の一覧で確認できます。呼吸や意識の異常など緊急の症状があるときは、相談電話を待たず119番へ。里帰り・転院を予定している人は、普段から夜間の連絡先を産院に確認しておきましょう。 [13] [1]
産院への電話で伝えるとよいこと
連絡するときは、わかることだけで十分です。記録や持ち物を完璧にそろえるより、まず電話を優先してください。普段から夜間・休日の連絡先を、スマートフォンや母子健康手帳に控えておくと安心です。
- 名前、妊娠週数、通院先でわかれば診察券番号
- どこが、いつから、どのようにつらいか。続いているか、繰り返すか
- 張りの間隔、出血や水っぽい液の有無、いつもと比べた胎動
- 発熱・頭痛・息苦しさなど、ほかにある症状
「この程度で電話してよいのかな」と迷うときも、その迷いを含めて伝えて大丈夫です。一度相談したあとに症状が変わったり、心配が続いたりしたら、もう一度連絡してください。
体の変化を知ることは、相談しやすくするため
不調の出方も、必要な休み方も人それぞれです。日常の小さな工夫で楽になることはあっても、気になる変化まで我慢する必要はありません。「いつもと違う」を手がかりに、医師や助産師と相談しながら過ごしましょう。
この記事は、厚生労働省、米国CDC、英国NHSなどの公開情報をもとにした一般向けの解説で、医療者の監修は受けていません。海外の資料を含むため、通院先の運用と異なる場合は、産院の指示を優先してください。確認日:2026年10月10日。
参考資料
医療情報確認日:2026年10月10日。以下の公的機関・医療機関の情報を参考に編集しています。海外の受診制度や電話番号は日本向けに置き換えています。
[2] CDC「Urgent Maternal Warning Signs and Symptoms」
[3] NHS「Pregnancy symptoms you need to get help for」
[4] NHS「Back pain in pregnancy」
[5] NHS「Swollen ankles, feet and fingers in pregnancy」
[6] NHS「Your baby’s movements」
[7] NHS「Premature labour and birth」
[8] NHS「Signs that labour has begun」
[9] NHS「Tiredness and sleep problems in pregnancy」
[10] NHS「Common health problems in pregnancy」
[11] NHS「Iron deficiency anaemia」
[12] North Tees and Hartlepool NHS Foundation Trust「Reduced fetal movements in pregnancy」



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