「母乳が足りているのか分からない」「授乳が痛くてつらい」「ミルクを足してよいか迷う」。授乳の悩みは、気持ちの持ち方だけで解決しようとしなくて大丈夫です。
まず確認したいのは、赤ちゃんが必要な栄養を取れているか。そして、授乳する人が困っていることを、誰に頼めるかです。母乳・混合・ミルクのどれを選ぶ場合も、一緒に考えてもらえます。
この記事は公的資料をもとにした一般的な情報です。月齢や出生時の状況、病気などによって必要な対応は変わります。産院や小児科から個別の指示がある場合は、その指示を優先してください。
飲めない・普段と違うときは、記録をそろえる前に相談
赤ちゃんが飲まない、いつもより明らかに飲めない、おしっこが普段より少ないなど、体調が気になるときは、次の健診を待たず、すぐに小児科や出産した医療機関へ連絡してください。
呼吸が苦しそう、唇の色が青紫色、起こしても反応が乏しいといった様子があれば、緊急の医療対応が必要です。日本では119へ救急要請してください。「母乳不足かどうか」を家で確かめることを優先しないでください。
参考:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」、NHS「When to get urgent medical help for babies and children under 5」。
休日・夜間に受診するか迷うときは、子ども医療電話相談「#8000」でも相談できます。受付時間は都道府県で異なります。呼吸や反応などに緊急のサインがあるときは、電話相談の受付を待たず119へ連絡してください。
「足りない気がする」と「飲めていない」は、分けて確認する
母乳は哺乳瓶のように量が見えないため、不安になりやすいものです。足りているかどうかは、一つの様子だけで決めず、体重の経過や授乳、排泄などを併せて相談します。
こども家庭庁が掲載する「授乳・離乳の支援ガイド」でも、発育曲線による体重の経過、授乳の量・回数、排尿・排便、機嫌などを踏まえて評価する考え方が示されています。

相談するときに伝えたいこと
・日齢・月齢:生まれて何日・何か月か。早産などで個別の指示がある場合は、その内容も。
・飲み方:母乳・ミルク・混合のどれか。普段と比べて飲み方が変わったか。
・分かる範囲の記録:授乳した時刻、ミルクを飲んだ量、おしっこ・うんちの様子。
・体重の経過:健診などで測った日と体重。母子健康手帳を持参すると伝えやすくなります。
・授乳する人の状態:痛み、張り、眠れなさ、気持ちの負担、服用中の薬。
全部の記録を埋める必要はありません。記録がないことを理由に相談を遅らせず、「昨日から飲み方が違う」など、気づいたことから伝えてください。この項目は相談のためのメモで、家庭で栄養不足を診断するチェック表ではありません。
参考:授乳・離乳の支援ガイド(2019年3月、本文21頁)。
授乳方法と「どう続けたいか」を、一緒に相談する
授乳の相談では、赤ちゃんの発育だけでなく、本人の希望や生活も大切です。「母乳を続けたい」「混合にしたい」「ミルク中心にしたい」「まだ決められない」と、そのまま伝えて構いません。
同ガイドは、必要に応じて育児用ミルクを使用することや、その選択を尊重して支援することを示しています。
例えば、こんな伝え方ができます
・母乳を続けたい:「飲めているかと、授乳の姿勢を一緒に見てほしいです」
・混合を考えている:「母乳を続けながら、ミルクを足す必要や足し方を相談したいです」
・ミルク中心にしたい:「切り替え方と、乳房の張りや痛みについて相談したいです」
・今は決められない:「まず少し休みたいです。今日頼めることを一緒に考えてほしいです」
どの言い方も、相談の例です。授乳の量や間隔、切り替え方は赤ちゃんと本人の状態によるため、この記事では全員共通の数字を決めません。
ミルクを使う際の準備・衛生面などは、別記事「完全ミルクのメリット・デメリット」も参考にしてください。
母乳の利点と、ミルクを選ぶことへの支援を両方大切に
母乳には感染症に対する保護などの利点があり、育児用ミルクが同じ保護効果を持つわけではありません。一方で、必要に応じて育児用ミルクを使う家庭にも、赤ちゃんの発育と授乳を支える支援が必要です。
母乳の利点を伝えることと、ミルクを選ぶ人を責めないことは両立します。
授乳方法によって、親としての価値が決まるわけではありません。無理に笑顔を作る必要もありません。つらさを伝えて手助けを受けることも、親子の生活を支える方法です。
参考:NHS「Benefits of breastfeeding」、授乳・離乳の支援ガイド(本文15〜21頁)。
薬・痛み・気持ちのつらさも、相談してよいこと
薬を飲むから必ず授乳をやめる、授乳中だから必要な薬をやめる、と自己判断しないでください。授乳中に使用できる薬もあり、薬の種類と母子の状況によって判断が変わります。処方された薬・市販薬とも、医師や薬剤師に授乳中であることを伝えて相談しましょう。
国立成育医療研究センターも、薬ごとの情報に基づき、医師や薬剤師と相談して決めることを案内しています。
相談先の使い分け
・赤ちゃんの飲み方・体重・体調:小児科や出産した医療機関へ。急な体調変化は予約健診まで待たない。
・授乳の姿勢、乳房・乳頭の痛み、授乳方法:産院、母乳外来、助産師へ。受診の要否も含めて相談する。
・家族の手助けが足りない、休めない、気持ちがつらい:自治体の保健師・母子保健窓口や出産した医療機関へ。利用できる地域の支援を尋ねる。
連絡先や受付時間は施設・自治体で異なります。母子健康手帳や産院の案内にある連絡先を確認してください。手元にないときは、自治体の公式サイトで「母子保健」「保健センター」の窓口を探す方法もあります。
家族の方へ 今日の負担を一つ引き受ける
家族の手伝いは、授乳そのものに限りません。哺乳瓶の洗浄、食事の準備、おむつ替え、受診時の付き添い、相談先への連絡など、任せられる仕事があります。
例えば「何かあったら言って」より、「次のおむつ替えと夕食の準備は引き受けるね」のほうが、頼むための負担を減らせます。本人が希望する授乳方法を確認し、変更を一方的に勧めないことも大切です。
家族は、本人が話せる範囲で困りごとを聞き、食事や家事など引き受けられることから動きましょう。授乳用品が役立つ場合もありますが、道具を買えば母乳量や痛みが解決するとは限りません。
今日できること
1. 呼吸が苦しい・反応が乏しいなどは119へ。それ以外でも飲めないなど普段と違う変化があれば、すぐ医療機関へ連絡する。
2. 不安が続くなら、母子健康手帳と分かる範囲の記録を用意して相談する。
3. 「どう授乳したいか」と「何がつらいか」を一つずつ伝える。
授乳を一人で完成させようとしなくて大丈夫です。赤ちゃんの様子と本人の希望を、専門職と一緒に確認するところから始められます。
情報確認日:2026年10月10日。この記事は診断・個別の授乳指導を行うものではありません。



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